竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
そんな、不幸になることが決定づけられているこの国の結婚――。
その相手が竜王であるという。かつて竜王の番を輩出したのが、このハーバル家というだけの理由で。
エリスティナは奥歯を砕けそうになるほど噛み締めた。
どうして人間種に生まれただけで、こんな風にして生きていかねばならないのだろう。
悔しくて悔しくて涙が出る。
けれど――けれど。
「大丈夫よ、お母様、リッド、私、幸せになって見せるわ!」
大切な家族を悲しませたくはない。その一心で、エリスティナは無理矢理の笑顔を作った。
姉たちは、みんなそうして嫁いでいった。ならば、エリスティナがそうしない理由はもはやありはしないのだから。
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