竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
馬は白馬、立派な金の馬鎧を身に着けた白馬が引くのは、金で装飾された黒塗りの馬車。
その馬車の御者は金――いいや、金に近い、はちみつのような色の装いに身を包んでいる。
はちみつ色――かつての竜王リーハを示す色は青。前竜王の時は、一か所だけに使われていた色彩あるパーツが、馬車全体に装飾されている。
竜の色を身に着けるのは、そのものが竜の庇護を受けるものであることを示している。
黒塗りの馬車はこの国では城からの使いだけが乗るものだ。だからこれは、城からのお召しによる馬車なのだろう。
しかし、こんなにも黒馬車に色彩が使われているとなると、話が変わってくる。
王城からの馬車とは、竜王からの馬車。では、その竜王の馬車のほとんどを――まるで、執心を示すように――埋め尽くす、はちみつ色は何を意味しているのだろうか。