竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「落ち着いて、落ち着くのよ、エリナ。なにがあったのか思い出すの」
額を押さえ、うう、とエリナが呻く。
その時、ばっと音を立てて、エリナの傍らにいた「誰か」が顔を上げた。
「エリー!起きたんですね」
「クー……?」
一瞬、クーがいることに驚いた。
自分がここにいる理由もわからないのに、と。
けれど、直後に思い出した。
エリナがこんな場所にいる理由が、竜王のお召しによるものであることを。
「…………」
「エリー……?」
エリナがきっとにらみつけた先、クーがエリナを心配するように見つめている。
その目の色に、嘘はなかった。
だからきっと、クーは本当に、エリナを案じているのだ。
自分がエリナをこんな風に追い詰めたのも知らずに。