竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「言ったわよね、クー。私、竜の番だけはいやなのって」
「はい」
「どうして私はこんなところにいるの。あの馬車の色は何?」
「エリナが、竜種の番だと判明したからです。僕が連れてきました。あの馬車の色は……竜王の色です。今代の竜王は、歴代の中でひときわ愛情深く、あなたを愛していますから、あの色彩になりました」
「会ったこともないのに?笑わせないで」
は、は、とエリナは荒く息を吐いて言葉を放った。
強気で、自分を強く見せなければ、竜種の中ではやっていけない。そう思ったから。
そう、ずっと思っていたから。
「会ったことは、あります」
「まさかあなたが竜王だなんていうんじゃないでしょうね。私のシチューが母親のシチューに似ているから私のことを選んだなんて言ったらぶっ飛ばすわよ」
「エリーになら、そうされてもかまいません」
クーは静かに目を伏せた。
やめて、と思った。じゃあ、だって、それじゃあ本当にクーが竜王みたいじゃないか。