竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「やめてよ、クー……。あなた、竜王、じゃ、ないんでしょ……。そんなこと言わないでよ……」
強気の仮面が上手くかぶれない。だってクーは大事な友達なのだ。
エリナが唯一愛した竜種はクリスただ一人で、そのクリスに似ているから好ましく思っただけの、ただの、普通の竜種。
「前世って、信じる……?」
「――……」
エリナは、前にクーに告げた言葉を繰り返した。
以前竜種にひどい目にあわされた、だから竜種が好きになれない。
そう、言ったはずだ。クリスはあの時、どんな顔をしていたのだっけ。
「……信じます。だって、そのおかげで、僕はあなたに会えたのだから」
「そう、人間の魂はめぐるから、もし番が死んでも同じ番に会えるんですってね。そうしないと、生まれる時間が違う人間と竜種はなかなか結ばれることがないから。だから人間貴族が生まれて、番の出生率まで管理されたんだわ」