竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「不思議でしょう。最強の竜王陛下が、って。でも、本当なんですよ」
ダーナはエリナの髪を、薔薇の匂いのする髪用石鹸をつけて泡立てながら、少ししわの寄った手でやさしく撫でた。
「エリナさまは本当に愛されておいでですわね」
「そんな、こと……。きっと、番に生まれなければ、そんな風にやさしくされないわ」
人間貴族だったエリスティナ。番でないというだけで虐げられた過去が首をもたげて、ちくちくと今のエリナの胸を刺す。
人間貴族……人間貴族?
ダーナ・ウィロウと名乗ったダーナ。その家名に覚えがあって、エリナはぱっと顔を上げた。
「ウィロウ……って、人間貴族の?侯爵家の、ウィロウ家?」
「まあ、よくご存じですのね。ええ、そうですわ。ウィロウ家は侯爵家です。私はウィロウ侯爵の妻ですの」