竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
カヤは、そして、エリスティナの姉であったひとたちは、自分が番でしかない、ということに、こんな気持ちを感じはしなかったのだろうか。
「わたし、ひどいことを言ったわ」
クーを責める気持ちはもはやなかった。
ただ、どこかさみしい気持ちになってしまって。エリナはささやくように言葉をこぼした。
ダーナはそんなエリナの体をふいて、真新しいシュミーズを着せつけてくれながら、やわらかな口調で言った。
「大丈夫ですわ。それよりも、竜王陛下はエリナさまを強引に連れてきてしまったことを申し訳なく思うとおっしゃっておりました。若人……100年生きている陛下にこんなことを思うのは違うかもしれませんが、若人とはそうやって地盤を固めていくものなのですよ。私も、夫と出会ったばかりのときは何度も喧嘩をしたものです」
少しずれた物言いに、エリナは苦笑する。
若草色のワンピースは、エリナの赤毛によく似あっている。
落ち着いたら、ドレスを作りましょうねと意気込むダーナ。
「少し、そこの庭を見てきてもいい?大丈夫、迷わないわ。一人になって、考えたいの」