竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~


(そろそろ顔を上げて良い、とか言ってくれないかしら)

 この体勢はひどく疲れるのだ。
 けれど、竜種は人間を家畜だと思っているので、そんな気遣いはされようもない。

「我の番はいつ見つかるのだ……」
「申し訳ありません、平民も人間貴族も、片っ端から探しているのですが……」
「平民にまで視野を広げねばならぬとは、なんのための人間貴族か」

(知らないわよ!)

 子は授かり物だ。
 番が生まれやすい理由もわからないくせに、番のよく生まれる血筋を掛け合わせて無理矢理に貴族にした、その上でこの国から出られないように監視をつけている竜種は、なんと傲慢なのだろう。

 そんな品種改良した牛のような言い方をしないでほしい。
 エリスティナは、不要品だと言われて2度と会えなくなった、まだ目も開いていなかった弟たちを思った。

 エリスティナは、もう一度、竜種なんて大嫌い、と思った。

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