竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
食前の祈りを捧げ、さあシチューを食べよう、というときのことだった。
閃光と、炸裂音。ついで、天井が落ちて来た。
何者から襲撃を受けたのだ。一拍遅れてそれに気づいた。
ただの小屋とはいえ、不帰の森の木材で作った小屋だ。
今のクリスの体ではそれをはじくようなことはできないし、できたとしても無傷では済まない。
だが、エリスティナを守らなければ、と――クリスにはそれしかなかった。愛する雌を守らない雄がどこにいるというのだ。けれど、立ち上がった時――なにか、あたたかなものに体を包まれたのを感じ取った。
その時のことを思いだすと、今も目の前が真っ赤に染まる。
落下してきた天井の梁に貫かれたエリスティナ。やわらかで、ひどく華奢な肢体が、おびただしい血液で真っ赤に染まった。どくどくとこぼれてくる命の証はクリスの全身を濡らしたけれど、そこにクリスの血は一滴も混じってはいなかった。