竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
エリスティナに守られたのだ、ということに、すぐに気づいた。
どうして、と思った。なにより先に、どうして、と。
どうして自分をかばったのか、どうして襲撃を受けたのか、どうして――どうして、クリスはエリスティナを守れなかったのか。
エリスティナを救うために、知識のうちにある治癒の魔法を使おうと力を籠める。
しかし、今は劣等個体であるクリスの扱える力はひどく少なくて、やっとのことで形を成した魔法はエリスティナの体をただ撫でるだけで終わった。
それどころか、即死だったはずのエリスティナの命を無意味に永らえさせ、ただ苦しむ時間を増やしてしまった。
エリスティナの青い目が濁っていく。
さまよう視線がクリスを見つけて細まって、その手が最後の力を振り絞ってクリスの頬を撫でた。