竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「エリー、離して、エリー!……クソッ……」
「クリス……だい、じょうぶ?」

 エリスティナ、クリスの、大切なエリスティナ。

「僕のことはどうでもいい!エリー!エリー!気をしっかり持って!」
「ふふ……大丈夫……私、あなたを守ってあげるからね…」

 守らなくていい。守らなくてよかった。
 クリスが死ねばよかったのだ。エリスティナに掬われた命なのだ。救われた命なのだ。
 この命を返すくらいなんてことなかった。

 クリスの下手な治癒魔法のせいで、上手に死ねなくて、苦しんでいて、けれど最後に言葉を遺そうと微笑むエリスティナ。
 クリスは叫びだしたい気持ちになって、けれどどうしようもなくて、ただエリスティナの腕の中で喘ぐようにもがいた。
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