竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「エリー!死なないで……!」
「クリス……、ごめん、ね、シチュー、こぼしちゃ、て」
「エリー!目を開けて、エリー!」

 やさしい口づけ。額へのそれを最後に、エリスティナの目がゆるゆると閉じられる。
 命の終わりが形になっていく。
 苦しい、つらい。そんな言葉ではたりない。
 力なく傾いでいく体、けれどクリスを抱く手は緩まない。

 エリスティナは、真実、命の終わりまで、クリスを守り抜いた。
 エリスティナが――エリスティナが、最後に、ふう、と息をする。
 赤い血で染まった、紙のように白いおもて。その顔はずうっと微笑みをたたえたまま、揺らがない。
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