竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 その言葉を最後に、かくん、とエリスティナの体から力が抜ける。
 力なく垂れさがった腕が、白く、冷たくなって、ああ――ああ――。

 遠くから、耳鳴りのような悲鳴が聞こえてくる。
 うるさい、うるさい、うるさい。今、それどころじゃないんだ。

 エリーが息をしないんだ。エリーが動かないんだ。
 エリーが、エリーが……。

「ふん、劣等個体のほうが残ったか。……しかも狂ったように悲鳴まで。生き汚い」

 ばさり、と。ふいに、羽音とともに姿を現したのは今代の竜王、リーハだった。
 きいきいと耳障りな悲鳴が消える。
 ああ、そうか、叫んでいたのは自分だったのか、なんて、嫌に冷静な頭で考える。
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