竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「おい、そこの」
「はい、私でございますか?」
「お前以外に誰がいる。おい、大臣、この娘、頭がどうかしているんじゃないか」
どうかしてるのはあんたよ!
そう大声で叫んで、その見目だけはいい横っ面を引っ叩いてやりたい。
いちいち大臣に話すな。そんなに大臣を信頼してるならその大臣とくっつきなさいよ!
そんなことを思って、けれどそれを顔に出せばどんなお咎めが来るかわからない。
エリスティナは奥歯を噛み締めながら、必死に笑顔を貼り付けた。
「申し訳ありません……」
「全く。大切なことを言うが、お前とは閨を共にしない」
「……は」
「二度言わねばわからぬか?お前と子作りをしないと言っている」
「……理由を、お聞きしても?」
エリスティナは呆然と尋ねた。
だって、子を作るために呼ばれたのでなければ、エリスティナは何のためにこんなところまでやってきたのか。
エリスティナのそんな表情をどうとったのか、竜王はフン、と鼻を鳴らして、いまいましそうに言った。