竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
70年の間、生きたまま焼かれる苦しみを味合わされた二人は、もう狂っているだろうか。
狂っていたなら、遠慮なく殺せるのにと思う。正気なら、まだ許しを与えられるか怪しかった。
塔の扉を開く――中は、ひどい有様だった。
開いた瞬間に感じたのは、腐臭。リーハの肌は焼けただれ、その端から修復され、けれどそれも追いつかない場所は腐っていた。
ずるりと剥げ落ちた肉にハエがたかっている。
そんなリーハの腕に守られるように抱かれているのは、もはやほとんど残っていない黒髪を、苦しみに震わせるカヤだった。カヤは、皮肉にも、リーハからもたらされた番という関係のせいで、寿命によって死ぬことができないようになっていた。
何度も嘔吐したのか、胃液のようなものがまき散らされている。最も、それには血が混じって、けれど吐くたびに燃え上がっているので、それが本当に胃から吐き出されたものなのかは判別がつかない。
「あ、あー……う」
クリスが入ってきたことに気づいたのだろうか。カヤが呻くように声をあげた。
濁ってどろりと溶けた目は、それが落ちくぼんでいなければ目だとわからなかっただろう。