竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「許されない、か……」

 再び口を開いたリーハはそう言って、カヤを抱きかかえなおした。
 リーハの腕は、骨が剥きだしで、その体に隠されたカヤも似たような状態なのだろう。濁ったカヤの目はどこを見るでもなく、ただうわ言のようにあー、うー、と繰り返すだけ。

「許されない、だと……」

 クリスは、そう、怨嗟のにじんだ声を吐き出した。

「あたりまえだろう……!お前は、お前は――無実の、エリーを、き――さま――」

 クリスは叫ぶように言った。
 エリスティナの墓前で、空虚のように生きた70年分の怒りが帰ってくる。
 許しを求めたのはクリスだって同じだ。
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