竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「それでも、番なんだ……私の、命より大切な番なんだ……。頼む……お願いします……カヤを、カヤを助けてください……」

 ――その姿は、竜王だと思えないほど、無様だった。
 あまりにも痛々しく、それでいて、滑稽だった。
 けれど、クリスはそれを笑うことはできなかった。

 番は、呪いに似ていると、その時になって強く思った。
 おそらく、リーハはあの時に戻ったとして、また同じようにエリスティナへと襲撃をかけるだろう。
 番の願いをかなえるために。
 竜種にとっての番とは、そういうものだ。
 それまでの倫理観も、常識も、すべてを投げ捨てて、その番のために捧げようとする。

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