竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
春の日とシチューの香り
それから20年の時が経った。
一言で悪役王妃の噂を払しょくするとは言っても、庶民にまで浸透した噂を消すのは並大抵の苦労ではなかった。
人間貴族という言葉をなくすことと同時に進めて行ったそれは、まるでエリスティナの悪評に対してだけ、誰かの力が働いているかのように消えないのだ。
それはまるで、クリスが情報を上書こうとしているのを知って、妨害しているかのようだった。
そういうことをしながらも、クリスは20年の間、エリスティナの生まれ変わりを探し続けた。
しかし、エリスティナの生まれ変わりが確かにこの世界に存在していることはわかるのに、やはりと言うべきか、エリスティナの魂が今どこにあるのかはわからなかった。