竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
当然だ。竜種から番の位置まで感知できるのなら、そもそも人間貴族は生まれたりしなかった。竜種は、番に出会うまでは番の存在しか――それすら感知できないこともある――わからない。
実際に出会って、匂いを覚えて、そうしてはじめて番がどこにいてもわかるようになるのだ。
その過程を踏まなければ、竜種は番の位置を感知することができない。
知らないものは探せない。
だからこそ、探す範囲を狭めるために人間貴族という制度が生まれたのだった。
人間貴族を廃止したから見つけられない、という言い訳はしたくなかった。
それは、エリスティナの望みに反していると思ったからだ。
だから、クリスは自分の足で城下町へと足を運んで、ときには辺境まで飛んでエリスティナの魂の持ち主を探して回った。