竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
エリスティナの生まれ変わりはそう言って、歯を見せて笑った。
平民らしい、がさつともいえるような快活さは、エリスティナにはなかったものだ。
その笑顔を見て、ああ、彼女は幸せに生きているのだな、と――彼女は今、昔のように不幸な生を歩んでいないのだな、と知って、泣きたいほど嬉しかった。
いい子ね、と言われて、エリスティナを思い出したからこそ、その魂の持ち主が今、笑えていることに安堵する。
ことことと煮込む音、シチューの匂い。
少しだけぼんやりしていたクリスは、気が付けば女性の背後に張り付くようにしてその手元を覗いてしまっていた。
まるで、あの頃エリスティナに甘えていたときみたいに。
「……きゃ!ちょっと、あなた、危ないわよ。火を使ってるんですからね」
「シチュー、ですか?」
「……そうよ。もうすぐできるって言ってるのに。そんなにおなかがすいてるの?」