竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
はっと気づいて離れようとするが、どうしても離れがたくて、クリスは見たままのことを口にした。時間稼ぎのつもりだろうか。
そうして、空腹かどうかを尋ねられて、ぐぎゅうう、などと間抜けな音が腹から漏れた。
思い出した空腹にクリスが顔を熱くすると、エリスティナの生まれ変わりがころころと笑いだす。
その笑顔は――愛らしかった。けして美人なわけではない。顔の上品さでいえば、エリスティナのほうが上だった。所作も優美なわけではなく、貴族として教育されてきたエリスティナとはまったく違った。
それでも、その少しだけ荒い所作を、楽しそうに笑う表情を、好もしいと――愛くるしいと思った。
……それが、番を求める竜の本能だと思って、クリスはわずかにうつむく。