竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
エリナはそう言ってクリスを誘った。
食事を終えるまで、という言い訳を用意されて、クリスは愚かなことに、そこにいることを選んでしまった。
「クー、そろそろできるわ。シチューをよそうから、そこの棚にある、そう、そのお皿をとってくれる?ありがとう」
「このくらい、手伝いのうちにはいりませんよ」
エリナの手伝いをする時間は、幸せだった。あたたかく、懐かしいあの日のやり直しをしているようだった。
「ええと、エリナさん。このコップはどこに置けば?」
「ミルクを入れるわ。今日は安く譲ってもらったの。かして」
「ミルク」
「牛の乳よ。クー、あなた、もしかして知らないの?」
呆れたようなエリナの言葉に、クリスは口ごもった。
ミルクは、エリスティナが「手に入れられなくてごめんね」と言っていた飲み物だ。
白い液体で、シチューに使う。それは知っている。