竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「いえ……その、実は、飲んだことはたぶん、あるのですが、それがミルクだと認識して飲んだことはないといいますか」

 おそらく、城で饗されたことはある。
 けれど、それをミルクだと思って飲んだことはなかったし、ミルクの味も感じなかっただろうから、実質、ミルクを知らないも同然だった。

「食に興味がなさすぎるわ……。私のシチューで同じことしたら怒るわよ」

 エリナが腰に手をあて、脅かすように言う。
 クリスは子供のような仕草に思わず笑顔を浮かべてしまった。

「肝に銘じます。エリナさん」
「よしよし、いい子」

 わしゃわしゃ、と、エリナがクリスの髪をかきまぜる。
 頭は竜種の弱点だ。
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