竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 目から、なにかあたたかなものがぽつりぽつりと木皿に落ちる。
 泣いているのだ、と気づいた。涙なんて、とうに枯れたと思っていたのに。

「く、クー!?」

 エリナが驚いたような声を上げて立ち上がる。
 ごしごしと、まるで子供返りしたような仕草で涙をぬぐう。エリナ、エリスティナ、エリナ……。二人の、愛しいと思った人間が脳内をくるくると回る。

 ああ、そうだ。
 認めざるを得なかった。
 クリスは、今、エリナに恋をした。エリスティナの生まれ変わりで、番で、そんなことを取っ払ったとして、クリスは、ただ微笑みかけられただけで、ただシチューを食べさせられたというだけで……ただ、生きているというだけで、目の前の彼女に恋をした。

 これが呪いだとして、番というだけでは説明のつかない心があった。

「どうしたの?味付け、苦手だった?」
「ちが、違います」
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