竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「お前が殺したようなものだ。ああ、哀れで愚かな雛竜よ――お前があの日、拾いさえしなければ――……」
フードの、女とも男とも知れぬその人間が、からん、と鐘を鳴らす。
エリナの目が、絶望に染まろうとして――瞬間のことだった。
刃のような金の閃光が、フードの人物とエリナの間に落下した。
はっとエリナが我に返ると、舌打ちの音とともにフードの人物がエリナから離れる。
支えを失いへたり込んだエリナを抱き留めて、エリナの背にあたたかな体温を与えてくれたのは、眠る前に見たはちみつ色で。
「き――さま――エリーに、何を――」
「…………竜王か」
しわがれた声が愉快げに、けれど憎しみを孕んだ声でクーを呼んだ。
瞬間、雷撃がフードの人間に降り注いだ。
轟音とともに、フードごと焼き尽くすような雷――……。
けれど、はらりと焼け落ちたフードの中にはなにもありはしなかった。あとには煤けた芝生が残るだけ。