竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 もちろん、今が苦痛でないわけではないが。
 嫌いな竜王、嫌いな竜種、憎むべきものに囲まれて、なんの刺激もなく、あるとすれば自分の命を害そうとする刺客とのひりひりした攻防のみ。

 それを生活の刺激とは呼びたくない。
 エリスティナは、摩耗しきった精神でもう立っているのもやっとだった。

 生きているだけありがたい?いいや、死んだほうがましである。
 けれど、自分が死ねば、家族へと咎めが行くかもしれないと思うと、手に持った調理用のナイフを己の首に突き立てることすらままならないのだ。

 この地獄が早く終わりはしないか、そんな、あり得ないことを日々考えて、死んだように生きている。
 けれど――けれど。
 不幸なことに、エリスティナの地獄はここで終わりはしなかったのだ。

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