竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 断る道理もないので素直に口を開ける。
 甘酸っぱいドレッシングが葉野菜の苦みを打ち消して、逆に甘みを感じさせる。おいしかった。

 エリナが咀嚼しおわるたびに、クーはそうやってエリナに食べさせた。
 差し出されたものをエリナが食べるたびにクーはうっとりと目を細めるので、義務とか、そういうものではないのだろう。
 クーはエリナの視線をよく見ていて、エリナが次はあれを食べたい、と思う頃にはもう目の前に用意されているのだ。

「……楽しい?」
「はい。楽しいです、とても」
「そう……」

 楽しいなら、まあ、いいか。
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