竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「恋知らず」でいたくて
泣き止んでほしい。涙も流れていないのにそう思う。
エリナは、今、この瞬間、あ、と思った。
――だめだ、これ。
エリナはクーを見上げる。そして、ゆるゆると眉を下げた。
胸のうちに、クーに対する憐憫や労り以外に、もう一つ、色のある心を感じる。
気付いてはいけない心――それを知ってしまえば、きっと何かが劇的に変わってしまう心――。
エリナは、クリスの頬をなぜながら、ぐっと奥歯を噛んだ。
気付きたくない。だって怖いのだ。
エリスティナさえ知らずに終わったひとつの感情を、もし知ってしまえばどうなるだろう。
エリスティナだったころの記憶を思い出す。
カヤはリーハを愛していたし、リーハもカヤを愛していた。
番という関係ありきでも、エリスティナが見てわかるくらい、彼らは愛し合っていた。
たとえ他人を傷つけても相手がいればそれでいいと考える、愚かでおぞましくも、ある意味では純粋だったそれ。
エリナは、今、この瞬間、あ、と思った。
――だめだ、これ。
エリナはクーを見上げる。そして、ゆるゆると眉を下げた。
胸のうちに、クーに対する憐憫や労り以外に、もう一つ、色のある心を感じる。
気付いてはいけない心――それを知ってしまえば、きっと何かが劇的に変わってしまう心――。
エリナは、クリスの頬をなぜながら、ぐっと奥歯を噛んだ。
気付きたくない。だって怖いのだ。
エリスティナさえ知らずに終わったひとつの感情を、もし知ってしまえばどうなるだろう。
エリスティナだったころの記憶を思い出す。
カヤはリーハを愛していたし、リーハもカヤを愛していた。
番という関係ありきでも、エリスティナが見てわかるくらい、彼らは愛し合っていた。
たとえ他人を傷つけても相手がいればそれでいいと考える、愚かでおぞましくも、ある意味では純粋だったそれ。