竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 力があっても何もできない。
 クリスは呪いを跳ねのけようとかけた魔法が、まったくの無意味に、風のように流れて消え去ったことを思いだした。
 呪いの解呪は、鍵と鍵穴の関係に似ている。

 特定の呪いがあったとして、その呪いにあった解呪の方法を取らなければ解けることはない。
 他のいかなる魔法も受け付けないもの、それが呪いだ。

「番様に関する呪いは、大元を断たないといけない。呪いをかけた術者から呪いの媒体を奪い、破壊する。それしか呪いを解くすべはない」
「ああ、エルフリート。それで、大元に関する手がかりは見つかったのか」

 クリスは、エリナが眠っている間、王宮の書棚をすべて漁った。
 それでも、呪った相手の手掛かりは得られない。

 街に出て調べられればいいが、クリスはエリナの周りに結界を張るためにあまり遠くへ離れるわけにはいかなかった。
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