竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「ばかな。死体はちゃんと確認した。私も君も、息絶えた前竜王の番を見ただろう。そんなわけない」
「それでも――あれは、確かにあの女だった」
「……わかった。確認させよう。分霊体のひとつに、墓を暴かせる。許可を出しておくれ。これでも一応宰相なものでね。法を破れないんだ」
「ああ、許可する。僕も立ち会おう」
――……はたして。
墓穴は空っぽだった。別の場所にある、竜王リーハの死体は今もそこにある。けれど、その番であるカヤの亡骸だけは、まるでそっくり盗まれたかのように、墓から姿を消していたのだった。