竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「でも、その理由も、クーが私を好きな理由もわからない。……番じゃなければ、きっとクーは私に見向きもしないわ」

 けれど、エリナへの純粋な好意があるとも思えなかった。
 番だから好きになった。番だから存在価値がある。そう思ってしまうほどには、エリナはクーの隣に並び立つ自分を想像できなかった。
 自分に自信がなかった。

 そうだ――エリナは、自分が好かれている理由がわからなかった。
 番だから好きになられたのなら悲しすぎる。エリナ自身を見て好きになってほしい。そう思うことがわがままだとちゃんとわかっている。わかっているのだ。

 だって、竜種にとって、番とは絶対の存在だ。
 その理から外れろというのは無理な話で、だからこそ、無理を通すことがどれだけ難しいか理解している。
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