竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
クーはそう言って、手元の本をサイドテーブルに置いた。
体ごと向き直って、エリナの顔を覗き込む。急に真剣な顔になった。
「エリーは今不安定で、だから詳しく言うことはできない。……けれど、今、あなたは危険にさらされていて。僕はそれからあなたを守りたかった」
「…………番だから、守るの?」
「いいえ。たしかに、出会えたきっかけは、あなたを見つけられたきっかけは、番だからでしょう。けれど、僕は番だからではなく、あなたに恋をしました。見ず知らずの僕にシチューを作ってくれたでしょう。僕のために」
エリナは目を見開いた。
だって、そんな馬鹿なことがあるだろうか。
そんな、ただ料理をしただけで、人を好きになるなんて単純が過ぎる。まだ番という意味がわかりませんと言われたほうが納得できるような不可解さだ。
「まさか、それで……?」
「あのシチューからは、僕への気配りと、労りを感じました」