竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「あ……ッ」
「まあ、黴の生えたパン!?なあにこれ?」
「カヤさま、汚のうございます」
「触らないから大丈夫よ。それにこの女がこれを誰かに食べさせようとして持ってきたのよ?没収して正解だわ」
それは私の大事な食料です。
黴が生えていたとしても、そこを削って、腹を下してでも食べるしかないのです。
そう言いたかった。
けれど、毎日やわらかな白パンを食べているカヤにはそんなこと信じてもらえないだろう。わかっているから、エリスティナはただ頭を下げて口を噤んだ。
弁明をして罰が増えるより、黙して嵐が過ぎ去るのを待つほうが楽だ。
「ねえ、あなた、わかってる?これは立派な罪だわ」
「……」
「何とか言いなさいよ」
「…………」