竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「君が今できることは、番様のある程度近くにいて、呪いの出現を待つことだ。直接的な被害を散らしてやりながらね」
「ある程度?そばにいて、事前に防げないのか?」
「可能ではある。しかし、あれだけの攻撃をしたんだ。並みの術者なら精神がばらばらになるほどのダメージを与えられて、呪いの主が君がいるのにも関わらず姿を現す、というのは考えにくい」
「……守れはするが、根本的な解決にはならない、ということか」
「そういうこと」

 クリスが椅子に腰を下ろすと、エルフリートが半透明の霊体になって宙に浮く。
 そのまま寝そべった姿勢でふわふわと漂いながら、つまり、と口を開いた。

「いざという時、君はぎりぎりまで番様を助けに出てはいけないということ」
「それは許容できない」

 クリスはぴしゃりと言った。
 そうだろうねえ、とエルフリートがけらけら笑う。

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