竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
ペンダントを贈った日
「エリー」
春も終わり、やわらかな若芽が木を覆う頃。
クーがいつになくおずおずとエリナの部屋を訪ねて来た。
「クー、どうしたの。そんなに改まって」
今日のエリナの服装は桃色のワンピースだ。レースでできた花模様のつけ襟が愛らしくて気に入っている。
足元まである裾を捌きながら、今もドア付近でなにかを言いたげに立ち止まっているクーのもとへ歩みよる。
クーはエリナが近づいてくるにつれて、あー、とかうー、とか何かもごもごと口ごもった。
ついにエリナがクーの目の前に立ってからもそれは変わらず、なにか気まずいことをエリナに対して思っているのかしら、とエリナが考えた時だった。
エリナはクーの手に何か小さな小箱が握られているのに気付いた。
それ、とエリナが指をさす。
「クー、何を持ってるの?」
「え、ああ、あ」
「もしかして、それを私にくれるの?」
「は、はい!」