竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
先読みして言った言葉だった。けれど、クーが力強く肯定するから、エリナは少し面食らってしまった。
クーが骨ばった、青年らしい大きな手の中に握られていた小箱をエリナに差し出す。
「ありがとう。あけていい?」
素直に受け取ったエリナが尋ねる。クーは何も言わずこくこくと頷いた。
ならば遠慮はいらない、と、エリナは箱を開けた。
――はたして。中に入っていたのは。
「……ペンダント?」
小箱の中に敷かれたクッション、その上に、丁寧に置かれていたのは、七色に輝くカットも美しい、まるでダイヤモンドのように透明な、ガラスとも違う材質の石が使われたペンダントだった。
「僕の鱗です」
「うろこ」
「逆鱗、とも言います。お守りとして、持っていてほしくて……」
逆鱗。その名前に聞き覚えがあって、エリナはああ、と首肯した。
たしか、竜種が番に渡す、番の証だった気がする。
番を守る力があるらしく、番にとってのまさしく「お守り」として重宝されると聞く。