竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 ふん、とカヤがつまらなそうに鼻を鳴らす。

「行きましょう、罪人に付き合っている暇はないわ」

 その後ろ姿を見ながら、エリスティナは思う。
 ――ああ、この世界なんて、大っ嫌い、と。

 ■■■


 エリスティナは竜種が嫌いだ。
 本当に、心の底から大嫌いである。

 ……でも、まだ卵の竜種に罪はないということを知っていたりした。

 なぜこんなことを言うのかというと、エリスティナの目の前に、今、竜種の卵が転がっているからだ。
 良く澄んだ、琥珀色の殻をした、両の手に収まるサイズの卵。
 それは、鳥の卵だと思うには大きすぎたし、作り物だと思うにはあたたかすぎた。

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