竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
大切なあの子、クリス

 離宮。それは、エリナがまだエリスティナだったころに住んでいた場所だ。
 あの頃にはつらい思い出しかなかったが、今の離宮は季節のたくさんの花が咲き乱れる庭園になっているらしい。

 竜王であるクーが、この場所をどうして重要視して花を植えさせたのかはわからない。
 知らないからこそ、少し興味がわいたのかもしれなかった。

「わあ、綺麗ねえ!」
「本当に」

 日傘をさしてくれるダーナの隣を歩きながら、エリナはすっかりあの頃から様変わりした離宮の庭を眺めた。
 ネモフィラや薔薇、スズランやポピー。
 色とりどりの花が咲き誇り、一面に青や赤、白の美しい花壇が広がるそこは、たしかに離宮というよりは庭園といったほうが正しい様子だった。
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