竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
エリナはクリスの頬を撫でた。
苦しそうな顔をしているのが、気にかかって。
クリスは続けた。
「危険なことに関してもそうです。言わなければあなたの心は不安で押しつぶされる、ということにはならないでしょう」
「あなた、そんなに寡黙だったかしら」
「そういうわけでは」
「ふふ、わかっているわ。私のためだったのでしょう、クリス。あなたは昔から、考えて、考えすぎて、熱を出してしまう子だったんだもの」
クリスは目を細めた。
エリナの手のひらが触れるたび、心地よさげに目を閉じるそのさまは、まるであの頃に戻ったようだった。
「僕はエリナにも、エリスティナにも恋をしました。だから同一視していると思われたくなかった」
「ふふ、そうね、クリスは誠実でいい子だわ」
クリスがエリナの膝に手を差し入れる。横抱きにして、離宮の庭にあるベンチへと、そのまま腰を下ろした。