竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 エリスティナはクリスを愛していた。
 溶け合って、一つになった今だからわかる。エリスティナはクリスを一身に愛していた。
 親子じゃない、恋人でもない。ただ、世界で唯一の存在として、愛を注ぎ続けた。

 ともすれば重すぎるほどの愛を、一身に受け止めてくれたクリスを守れたのは、エリスティナの本望だった。
 クリスが生きていると知って、エリスティナの心が震える。大好きよ、大好き、あなたを愛しているわ。そう言って何度もクリスを撫でたくなる。

 でも、そこにひとつだけ、違う愛が混ざってしまった。
 エリナは、クーを愛してしまった。ああ、そう、そうなのだ。エリナはクーを好きになってしまった。

 だってそうだ。きっかけは、シチューだったとして、クーはいつだってエリナに愛を注いでくれた。やさしくしてくれた。
 エリナを気遣い、いつだってエリナのことを考えて……。

 そんな人を、愛さずにおられるだろうか。
 愛することに疑問を抱いて、愛されるわけがないと思い込んで、一人で殻に閉じこもっていたエリナ。
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