竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
カヤはクリスに向き直った。
その、洞のような目からどろりとした黒い液体が漏れる。
「あんたが、それを言うの――。私から、リーハを奪った、あんたが!」
かくん、とカヤの首が折れる。
こきこき、こきこき、とカヤが首を傾げるに合わせて、カヤの首が戻っていく。
死体が動いているのだ、とエリナは理解した。
いいや、生きている。カヤは今、生きている。
けれど――死ねない死体、とでもいうのだろうか。
カヤの体は生存を放棄し、カヤはおかしくなった精神だけでその体をつなぎとめているように見えた。
「どうして、どうしてそんな風になったの」
エリナは震える声で尋ねた。
カヤの今のありさまは、あまりにも痛々しく、おぞましかった。
ああ――……。と、カヤは腐臭のする息を吐いて、今度はエリナのほうを向く。
からん、からん、と、杖に括りつけられた鐘を鳴らす。
その音が不快で、けれど、エリナの意識を刈り取るまでには至らない。
胸のうちがあたたかい。ふと見ると、胸に飾られたペンダントの、クリスの逆鱗が発光していた。
緑色の、クリスの目の色と同じ、あたたかな光。
その、洞のような目からどろりとした黒い液体が漏れる。
「あんたが、それを言うの――。私から、リーハを奪った、あんたが!」
かくん、とカヤの首が折れる。
こきこき、こきこき、とカヤが首を傾げるに合わせて、カヤの首が戻っていく。
死体が動いているのだ、とエリナは理解した。
いいや、生きている。カヤは今、生きている。
けれど――死ねない死体、とでもいうのだろうか。
カヤの体は生存を放棄し、カヤはおかしくなった精神だけでその体をつなぎとめているように見えた。
「どうして、どうしてそんな風になったの」
エリナは震える声で尋ねた。
カヤの今のありさまは、あまりにも痛々しく、おぞましかった。
ああ――……。と、カヤは腐臭のする息を吐いて、今度はエリナのほうを向く。
からん、からん、と、杖に括りつけられた鐘を鳴らす。
その音が不快で、けれど、エリナの意識を刈り取るまでには至らない。
胸のうちがあたたかい。ふと見ると、胸に飾られたペンダントの、クリスの逆鱗が発光していた。
緑色の、クリスの目の色と同じ、あたたかな光。