竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 それがカヤの鐘の音を防いでいるのだ、と理解した。そうして、思いだす。
 エリナの思い出の、いたるところに、ささやきとともに訪れた、この、鐘の音のことを。

「あの音は、カヤ、あなた、それは――」
「今更ァ?」

 カヤの唇ががぱりと開かれる。
 腐った肉がぼとりと落ちて、煙とともに異臭をまき散らした。

「そう、そうねェ、あんたは知らないわよねェ。何も知らず、のうのうと守られてたんだものねェ」

 カヤは笑う。げらげらと、面白くもないことに、無理矢理拍手をするように。
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