竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「呪い、70年前……」
「エリスティナを殺したかラって、そんなどうデもイいことデ!私とリーハを呪っタ!」

 ぜえぜえと息をするカヤの喉から、ぼとぼとと黒い液体が零れ落ちる。
 落ちて、枯れた草を溶かしていくその液体は、カヤの血ではなかった。
 カヤは、一言、一言を口にするたびに、呪いを吐き出しているのだ。

「ぜったイに、ゆるサない……」

 舌が溶けている。人のものとは思えない声が、言葉を形作ることすら難しくなってただただ呪いとともに落とされる。
 カヤは、もはやひとの形を保っているとは言えなくなっていた。
 王宮に張られた結界を通るだけで精いっぱいだったのだろう。
 その身に残る力がなんなのかわからないが、もうほとんど力は残っていないはずだ。

 そして、カヤの言葉で、エリナもカヤの怒りの理由を理解した。
 クリスは、きっと、エリスティナを殺した相手に復讐をしたのだろう。
 もう、その相手がリーハだったことは疑いようがない。
 そして、その復讐がカヤの言う70年の呪い……。その最後に、クリスは二人を分けて幽閉した。
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