竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 いいわ。エリナは言った。

「クリス、あなたは、呪いを生むものを……カヤを、消滅させられるのね?」
「はい」
「そう」

 エリナは一瞬、目を伏せた。
 カヤは哀れだ。けれど――けれど、カヤは、許されるべきではなかった。
 許されないことが、カヤへの罰だと思った。
 そして、それは、きっとカヤのできる唯一の償いだった。

「やって、クリス。カヤを……あの子を、消滅させて」

 あの女、ではなかった。エリナにとって、エリスティナにとって、カヤは憎い相手で、けれど、癇癪もちの、子供だった。何も知らなかった、哀れな子供。

 だからこそ、ここで、罪を重ねる前に消してやらねばと思った。

「――はい」

 クリスは、短く言った。
 それで、もう十分だった。
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