竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 胸の前でぎゅっと手を握り締めて、目からぽろぽろと涙を流してうずくまるエリナは不敬だろう。それでも、金の髪をした美しい竜王はエリナをそっと抱きしめて、エリナが泣きじゃくるのをあやしてくれて。
 ずっと、ずっと、泣き止むまで背を叩いてくれた。
 それが、どこか遠い記憶の「あの子」に似ている気がして、エリナはまた、ぽろりと涙をこぼした。
 かつて、エリスティナだったときの――前世の、凄惨な記憶の中で、唯一幸せだった想いの欠片。
 ――クリス。またあなたに会いたい。
 苦手なはずの竜王の、少し低い体温は、あの愛しいだけの子供のそれに、よく似ていた。

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