竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

「私が、クリスをクリスだとわからなかったのには、理由があるの?」

エリナは何気なく尋ねた。クリスははっと目を見開いて、守れなかったことを後悔するように顔をゆがめた。
大丈夫よ、とエリナが撫でると、ひとつ息をついて話し始める。

「カヤの呪いです。本来、人間種は魔法を使うことができないので、あれはリーハの鱗を……逆鱗を取り込んだことによる作用なのでしょう。カヤは、エリーに暗示をかけていました。鐘の音を媒介にして、長い間、ずっと……」

一度、クリスはそこで言葉を噤んだ。エリナはただ、黙って続きを待った。
クリスが続きを話し出す。

「僕の逆鱗と……先だってカヤを探したときに放った僕の攻撃でカヤが弱ったことと……複数の要因が重なって、カヤの呪いが弱まって、エリーの認識阻害が溶けたのでしょう。けれど、僕はエリーを二度も危険な目に合わせました。守ると言って……」
「守ってくれたわ」
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