竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
エリナは微笑んだ。
そう、クリスはずっと、エリナを守ってくれた。
かつてエリナがそうしたように、彼の全身全霊をかけて。それがわからないなんて、そんなはずはなかった。
「私は傷ついていないでしょう?どこも損なったりしてない。元気いっぱいで、今ここにいるもの」
「でも……!」
「それ以上言ったら怒るわよ?私の大事なクリスを責めないでって」
エリナは頬を膨らませて、エリスティナらしく言った。
クリスはぱちぱちと目を瞬いて、やがて笑って。
「かなわないなあ……エリーには」
と言った。エリナは満足して笑み返す。
「それにしても、あんなに小さかったクリスが、こんなに立派になっちゃって」
「小さかったは余計です!」
「あはは」
焦るクリスがかわいくて、エリナは声をたてて笑った。
本当に、幸せだ。こんな風な日々が来るなんて、前世では思ってもみなかった。
「敬語」
「え?」
「敬語。どうして私に敬語を使うのよ。昔はもっとこう、かわいかったじゃない?」