竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 エリナは胸に手を当てる。
 どきどきして、胸がはじけてしまいそうだ。
 今日、エリナとクリスは結婚する。番としてだけでなく、夫婦として、この先を歩いていくことを誓うのだ。

 前世の、エリスティナだったころには体験したことがなかった「結婚」。それを、こんな美しい初夏の日に、大好きなひとと迎えられる。
 そのことが、エリナにはなにより嬉しかった。

 ふと、エリナは近づいてくる物音に気付いた。
 それはひとの話し声で、どうやらこの部屋に用事があるらしかった。
 竜王の花嫁の控室、そんなところに来られるものはそういない。

 エリナは耳を澄ませた。そうして、安堵と、やっぱり、という思いで微笑んだ。
 クリスの声がしたからだ。それにしては、少しどたばたとしているような気もするが……。
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