竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 そう思っていると、近づく声が大きくなってきた。
 扉の前で話しているらしい。

 ――心臓が破れそうだ……。エリーの花嫁姿なんか見たら死んでしまう。
 ――馬鹿だねえ。結婚式なんてあげようと思えば何度だってあげられるじゃないか。花嫁姿もまたしかり。何回だって頼めば見せてくれるよ。
 ――知らないかもしれないから言うが、基本的に結婚式は一回なんだ!
 ――ははは!知ってるけれども!そうだねえ、何回やったって番との結婚はいいものだ、うん。わかるよ、若人。
 ――わかるならどうして僕をここに連れて来たんだ!死ぬ!死ぬって言ってるだろうが!
 ――どうせ式で見ることになるんだからさ、今見て耐性をつけておくほうがいいって。
 ――知ったようなことを!
 ――そら、あけるよ、さん、に、いち。

 バァン!という音とともに、花嫁の控室につけられた扉が開いた。
 そこに見えたのは想像通り、クリスとエルフリートで。
 にやにやと嬉しそうに笑うエルフリートに、半ば羽交い絞めにされながら引きずられてきたらしいクリス。
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