竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
【最終話】そして幸せな未来を歩み続ける
「ほんとう?」
「エリー?」
「本当に、綺麗?」
エリナは自分の口が動くのを止めることができなかった。
好きな人に花嫁姿を綺麗だと思われたいのは、古今東西の女性の常だ。
エリナが緊張の面持ちでクリスに尋ねる。
あ、とか、うー、とか言っていたクリスは、エリナのまっすぐな視線を受けてようやっと決心がついたのか、ややあって、はっきりした声色で「はい」と口にした。
「綺麗だ……綺麗です。誰より、何より。あなたが。透き通るみたいで……この世界の、なによりも綺麗です」
一瞬だけ敬語を外したクリスが、耳までを赤くして告げた言葉は、エリナの胸を熱くした。
こんなにもときめくことがあるのだろうかという思いだった。
見つめあって、ただ胸の鼓動を高鳴らせて――傍らのエルフリートが「熱い熱い」と言っているのを聞き流しながら――しばし。